銀の箸と銀の匙

 新聞のエッセイの題に銀の箸とあり、てっきり銀の匙と同じ意味かと勘違いしてしまいました。記事を読むと、何の事はない、金属の箸を使う韓国のことでした。
 銀の匙で何を思ったかというと、私の世代、といっても私は北関東の小さな街の工場の臨時工をしていた親の息子なのですが、親は良くしてくれましたが、けっして銀の匙をくわえて生まれてきたとはいえませんでした。肉を毎日口にできるようになるのは、物心ついてからかなりたってからでした。今でも覚えているのは、夕食のおかずがジャガイモのソース煮だったりします。冷蔵庫もずっとありませんでした。それを思うと、私の子供たちは、銀の匙をくわえて生まれてきています。日本に生まれたということが、銀の匙をくわえてきたことになるのですね。よく考えたら、世界の開発途上国に比べれば、韓国でも台湾でも、恵まれていて、銀の匙をくわえて生まれたといっていいのかなと思った次第です。もっとも、日本でも韓国でも台湾でも、貧しい人はいますから、皆が皆、銀の匙をくわえているわけではないのでしょうけれど。