「科学と疑似科学の哲学」

 伊勢田哲治著の標記の本を読みました.最後は,ベイズかという感じですが,クーンとかポパーのこともよくまとまっていて,とても参考になりました.というか,最後のベイズの話はとても納得できました.仕事として研究をやっているわけですが,「疑似科学を科学に昇格させる」のはもう無理としても,「科学をより科学らしくする」ことは続けていかねばと思いを新たにした次第です.
 で,この本に照らして,電磁気的な手法による地震予知は,疑似科学と科学のぼやけた線上にあると思いました.VAN法は,どっちかというと疑似科学に近いかな?論文はあまり読んでいないので何ともいえませんが.地震雲は,疑似科学でしょう.

 ところで,ベイズの手法では,苦い思い出があります.この本にも,事前確率の当たりの付け方が難しいとありましたが,十分な事前確率が無いままこの手法を適用したところ,うまくいきませんでした.ずいぶん頑張ったのですが,結局学会発表が精一杯で,実用には別の手法を用いることになりました.