日経サイエンスの8月号のコラム

職場にこの雑誌が置いてあり、コラムで地震のことに触れていたので、読んでみました。そしたら、何とかならんかというような記事でした。カリフォルニアでのリアルタイム地震情報を扱っているのは、私のつたない記憶では、「CUBE」という組織でした。そこで、ぐぐってみると、地震学会のHPにまとまった記事がありました(http://wwwsoc.nii.ac.jp/ssj/publications/SAISIN/saisin10.htmlとかhttp://wwwsoc.nii.ac.jp/ssj/publications/SAISIN/saisin21.html)。これを読むと、やっぱりあの記事の内容は誤解していると思います。特に、カリフォルニアのリアルタイム地震情報については、誤解も甚だしい。ちょっと調べれば、今はインターネットでいろいろ情報を得られますから、ちゃんと調べて記事を書いてほしいです。日経サイエンスは、結構好きなのですが、このコラムはどうにかならないのでしょうか。自分の専門では、ぼろぼろと穴があるということは、他のことでも間違ったことを書いているのではと思えてしまう。

(6/30追記)
 改めて、コラムを読んでみると、事実誤認がはなはだしいです。確かに、緊急地震速報のアイディアは、古くからあります。でも、一般に発表するには、コンピュータの発達、地震計の改良、通信のインフラの整備などが必要です。四半世紀前、ちょうど私が気象庁の現場に出た頃は、ネットワークに繋がった振り切れない地震計はありませんでした。当時、気象庁の強震計は震度4〜5で振り切れてしまうものでした。震度計もコンピュータの能力が足りず、まだこの世のものになっていませんでした。そうした状況を考えると、特定の用途で専用線などを使い、PとSの差を利用して早期に警報を出す事は可能でしたが、一般向けに警報を発表するのはとても無理でした。アメリカにおいても状況はさしてかわらず、先に挙げたページにあるように、緊急地震速報に相当する情報はまだ実用に供されていないです。
 IRISシステムは確かにほぼリアルタイムで地震波計が公開されますが、これに用いられている地震計は震度2〜3で振り切れてしまいます。また、このシステムが使えるようになったのは、1990年頃で、当初はダイアルアップでした。インターネットで波形がとれるようになったのは、1990年代半ばになります。